【編集協力】愛知医科大学 皮膚科学講座 教授 渡辺大輔 先生
1帯状疱疹について
痛みや発疹があらわれ、80歳までに約3人に1人が発症
体の片側の一部にピリピリとした痛みがあらわれ、その部分に赤い発疹が出てきます。
痛みは徐々に増していき、夜も眠れないほど激しい場合もあります。
症状の多くは上半身にあらわれますが、顔や目、頭などにあらわれることもあります。






加齢などによる免疫力の低下が発症の原因です。
特に50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。
疲労やストレスなども発症のきっかけになります。
また、糖尿病やがんなどの免疫力が低下する病気が原因になることもあります。Hata A. et al.: Infection. 39(6), 537-544, 2011


2発症のメカニズム
日本人成人の90%以上は、帯状疱疹の原因となるウイルスが体内に潜伏している
帯状疱疹は、多くの人が子供のときに感染する水ぼうそうのウイルスが原因で起こります。
水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内(神経節)に潜伏していて、過労やストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが再び活性化して、帯状疱疹を発症します。
発症すると、皮膚の症状だけでなく、神経にも炎症を起こし、痛みがあらわれます。
神経の損傷がひどいと、皮膚の症状が治った後も、痛みが続くことがあります。


日本人成人の90%以上は、このウイルスが体内に潜伏していて、帯状疱疹を発症する可能性があります。
国立感染症研究所 : 病原微生物検出情報(IASR).「水痘抗体保有状況」[2019年3月13日確認]
ウイルスの体内(神経節)への潜伏
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- 水ぼうそうの発症
- ウイルスに初めて感染すると、水ぼうそうを発症する。
ウイルスは神経を通って、神経節に潜伏する。
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- 潜伏期
- ウイルスは休眠状態だが、神経節に残っている。
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- 帯状疱疹の発症
- 免疫力が低下すると、ウイルスが再び活性化して、帯状疱疹を発症。
神経に炎症を起こし、痛みがあらわれる。
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- 神経の損傷が残る場合がある
- 神経の損傷がひどいと、皮膚の症状が治った後も、痛みが続くことがある。
3主な合併症:帯状疱疹後神経痛(PHN)
50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、約2割は3か月以上痛みが続く
神経が損傷されることで、皮膚の症状が治った後も、痛みが残ることがあり、3か月以上痛みが続くものを帯状疱疹後神経痛(PHN)とよびます。
PHNの痛みは、「刺すような痛み」や「焼けるような痛み」と表現され、数年にわたって痛みが改善されないこともあります。
50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、約2割がPHNになるといわれています。
特に高齢者ではリスクが高く、PHNを防ぐためにも帯状疱疹の予防が大切です。


Takao Y. et al.: J Epidemiol. 25(10), 617-625, 2015
4その他の合併症
目や耳に症状がでたり、顔面神経麻痺などの重い後遺症が残ることも
帯状疱疹は頭部から顔面に症状がでることもあり、目や耳の神経が障害されると、めまいや耳鳴りといった合併症がみられることがあります。
重症化すると、視力低下や失明、顔面神経麻痺など、重い後遺症が残る危険があります。




愛知医科大学皮膚科 渡辺大輔先生ご提供
5帯状疱疹にかからないために
日頃から体調管理を心がけ、免疫力が低下しないようにすることが大切です
帯状疱疹は免疫力の低下が原因で発症します。帯状疱疹にかからないためには、食事のバランスに気をつける、睡眠をきちんととるなど、日頃から体調管理を心がけることが大切です。


50歳以上の方は、ワクチン接種で予防することができます。帯状疱疹ワクチンには、不活化ワクチンと生ワクチンがあります。


帯状疱疹のワクチン接種については、
医師にご相談ください。※予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありません。
