帯状疱疹のことを皮膚科医に聞く!
疑問に
お答えいただくのは
愛知医科大学
皮膚科学講座 教授
渡辺 大輔 先生
帯状疱疹を発症するリスクは
どれくらいですか?
80歳までに、日本人の約3人に1人が発症するといわれています
多くの人が子どもの頃になった水ぼうそう。実は、この水ぼうそうのウイルスが帯状疱疹の原因です。水ぼうそうが治った後も、このウイルスは長い間体内に潜伏しています。
普段は体に備わる免疫機能によってウイルスの活動が抑えられていますが、加齢や疲労、病気などで免疫機能が低下するとウイルスが再び暴れだし、皮膚に痛みの伴う発疹が現れることがあります。これが、帯状疱疹と呼ばれる病気なのです(図1)。
子どもの頃に水ぼうそうになったか覚えていない人もいるかもしれませんが、日本人成人のほとんどの方が水ぼうそうに感染したことがあると考えられています。
つまり、帯状疱疹はだれもが発症する可能性のある病気なのです。特に、50歳を過ぎると発症が増えて、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています(図2)。
帯状疱疹を発症すると、
どれくらい
の痛みを伴うものですか?
日常生活に支障をきたすほどの、激しい痛みがでることもあります
帯状疱疹の症状には個人差がありますが、多くの場合はチクチク、ピリピリとした知覚過敏のような痛みが皮膚に生じ、数日後に水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れます。症状は体の左右どちらかに現れるのが特徴で、多くは上半身に現れ、顔面や頭部に現れることも少なくありません。
痛みは徐々に強くなっていき、眠れないほど激しい痛みに襲われる場合もあります。ウイルスが神経を大きく傷つけてしまうと、皮膚の症状が治った後も痛みが続くことがあり、3か月以上続く痛みは帯状疱疹後神経痛(PHN※)帯状疱疹後神経痛[PHN(ピーエイチエヌ)※]と呼ばれます。
その痛みは、「電気が走るような痛み」「焼けるような痛み」と表現され、日常生活に深刻な影響を及ぼします。50歳以上で帯状疱疹を発症した人の約2割がPHNになるといわれており、80歳以上の高齢の方では約3割とより高くなります(図3)。
帯状疱疹の症状が顔面や頭部に現れた場合、目や耳の神経が傷つき、視覚や聴覚に異常が起こることがあります。重症化すると、視力低下や顔面神経麻痺などの症状が後遺症として残ることもあるため、症状が現れたら早期に治療を受けること、そして、そもそも帯状疱疹にならないために、しっかりと予防することが重要です。※PHN:Postherpetic neuralgia
帯状疱疹予防の方法は
あるのでしょうか?
はい。50歳を過ぎたら、帯状疱疹の予防接種を受けることができます
帯状疱疹はだれもが発症するおそれのある病気だからこそ、予防に目を向けることが大切です。
つらい痛みが長く続くと普段の生活がしづらくなり、仕事や趣味を楽しむことにも影響がでてきます。帯状疱疹からPHNPHN(ピーエイチエヌ)になってしまうと、それが長期間続くこともあります。
長い人生を考えれば、帯状疱疹の予防に取り組むことはとても意義のあることです。帯状疱疹を予防するには、日頃から健康的な生活を心がけ、免疫機能が低下しないようにすることが基本です。50歳以上の方は帯状疱疹の予防接種ができるので、まずは医師に相談してみましょう。
もし、帯状疱疹になったら、
どんな治療をするのですか?
抗ウイルス薬を使った治療を行います
原因であるウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を使った治療を行います。重症化させないためには、できるだけ早く治療を開始することが大切です。痛みの伴う発疹に気づいたら、症状が軽くても早めに皮膚科を受診するようにしましょう。
帯状疱疹は、
他の人にうつりますか?
病気そのものがうつることはありません
ただし、ウイルスをうつしてしまう可能性はあります
帯状疱疹は、自身の体内に潜伏している水ぼうそうのウイルスが再活性化することで発症する病気です。そのため、周りの人に帯状疱疹という病気そのものがうつることはありません。
ただし、水ぼうそうになったことのない人にウイルスをうつしてしまう可能性はあります。帯状疱疹になったら、水ぼうそうに感染したことのない乳幼児や水ぼうそうの予防接種をしていない子どもに接触するのは避けたほうがよいかもしれません(図4)。気になる方は医師にご相談ください。
過去に帯状疱疹になった人でも、
再発することはありますか?
免疫機能が低下すると、再びなる可能性があります
一度帯状疱疹になるとウイルスに対する免疫機能が上がるため、再発しにくくなります。ただし、全く再発しないというわけではなく、体の免疫機能が低下すると、再びなる可能性があります。一度なったことがあっても、予防を心がけましょう。
予防接種をすると、
どんな効果が期待できますか?
ウイルスに対する免疫機能が強化されます
子どもの頃に水ぼうそうになったことのある人では、すでにウイルスに対する免疫ができていますが、免疫機能は加齢とともに弱まってしまいます。
予防接種をすると、ウイルスに対する免疫機能が強化されます。予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、発症を抑える効果が期待されます。また、現在国内では2種類のワクチンが使用できます。
帯状疱疹の予防接種は、
どこで受けられますか?
内科や皮膚科などで受けることができます
帯状疱疹や予防接種については、かかりつけの医師や医療機関にご相談ください。
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