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帯状疱疹の予防

ここでは、帯状疱疹に対する予防法について、ワクチンの接種と日常生活上の留意点を紹介します。帯状疱疹を発症した場合、抗ウイルス薬などによる治療を行っても帯状疱疹後神経痛(PHN)ピーエイチエヌ[PHN(ピーエイチエヌ)]などの後遺症が残る場合もあります。そのため、帯状疱疹の「予防」を心がけておくことが望ましいでしょう。予防には、規則正しい生活習慣や適度な運動に加え、50歳を過ぎた人は帯状疱疹の予防接種ができます。

帯状疱疹には予防接種という選択も

実は、日本人成人の90%以上は、帯状疱疹の原因となるウイルスが体内に潜伏することによってできる「抗体」を有しています(図)1)。これは、多くの人が子どもの時に感染する水ぼうそうが、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によるもので、感染したウイルスは、水ぼうそうが治った後も、症状を出さない状態で体内に潜み続けています。

このように、子どもの時に水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した人は、このウイルスに対する免疫を持っていますが、獲得した免疫は年齢とともに弱まり、帯状疱疹を発症することが多くなる傾向があります2)。また、一度帯状疱疹になった人でも、体の免疫機能が低下すると再びなる可能性があります3)

 年齢/年齢群別の水痘抗体保有状況の年度比較、2015~2019年※1
~2019年度感染症流行予測調査より~1)

※1 2019年度は2020年7月現在暫定値

年齢/年齢群別の水痘抗体保有状況の年度比較のグラフ 年齢/年齢群別の水痘抗体保有状況の年度比較のグラフ

50歳以上の方は予防について医師にご相談を

そのため、ワクチンを接種して免疫の強化を図ろうというのが帯状疱疹の予防接種です。帯状疱疹ワクチンには2種類あります。

50歳以上の人は、帯状疱疹の予防接種を受けることができます。50歳以上は帯状疱疹の発症率が高くなる傾向3)がありますので、予防接種は帯状疱疹を発症しないための選択肢のひとつになります。

予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありません。また、接種ができない人、あるいは注意を必要とする人もいますので、接種にあたっては医師とご相談ください。

看護師に帯状疱疹ワクチンを接種してもらっている女性イラスト 看護師に帯状疱疹ワクチンを接種してもらっている女性イラスト

1)国立感染症研究所: 病原微生物検出情報(IASR).「年齢/年齢群別の水痘抗体保有状況, 2019年」 [2024年3月13日確認]

2)浅田 秀夫: MB Derma. 297, 39-45, 2020

3)Shiraki K. et al.: Open Forum Infect Dis. 4(1), ofx007, 2017

帯状疱疹予防を意識しよう

帯状疱疹の後遺症である帯状疱疹後神経痛(PHN)ピーエイチエヌ[PHN(ピーエイチエヌ)]が残るリスクは、50代より60代、70代と年齢が上がると高まると考えられています4)。そのため年齢を重ねる前から、日常生活に留意する、予防接種により帯状疱疹に対する免疫機能を高めるなど、帯状疱疹を防ぐ意識が大切です。

4)稲田 英一 責任編集: 帯状疱疹Up-to-Date. p50-51, 診断と治療社. 2012

ワクチンの豆知識

ワクチン接種は体調の良い時に

体調が優れない時はワクチン接種は避けた方が良いでしょう。健康状態で不安な点がある場合は、必ず事前に医師へ相談してください。

副反応について

よく、薬の作用で「副作用」という言葉を耳にしませんか?本来、目的にしている作用以外の作用は「副作用」と呼びますが、ワクチンでは副作用のことを「副反応」といいます。

ワクチンの副反応は、生体反応の一部です。より安心してワクチンを接種するために、予診票をきちんと記入し、接種前の健康状態を医師とも十分に確認しておきましょう。

また、ワクチン接種後に起こる可能性のある副反応については、接種前に医師の説明を受けるようにしましょう。接種後に異常を感じた際は医師に申し出てください。

ワクチン接種後30分は病院で待機

ワクチン接種後、まれに重い副反応としてアナフィラキシーや迷走神経反射が起こることがありますので、接種後30分は接種を受けた病院で待機するなど、医師とすぐ連絡が取れるようにしておきましょう。

接種当日は激しい運動は避け、接種した部位はこすらないようにしましょう。体調の変化など不安を感じることがあれば、すぐ医師に相談してください。

日常生活における留意点

免疫機能を高めて帯状疱疹を予防する

帯状疱疹の発症には、免疫機能の低下が関係していることが知られています。加齢や疲労、ストレスなどによって免疫機能が低下すると、潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活性化しやすくなります。

また、健康な高齢者でも、加齢により免疫機能が低下していると考えられます。日頃から十分な休息をとりながら免疫機能の維持を心がけ、免疫機能を低下させる疲労やストレスのない規則正しい生活を送りましょう。

バランスの良い食事と適度な運動、睡眠も大切

一般に、好き嫌いのある食事、運動不足、睡眠不足などは免疫機能を低下させてしまうといわれています。食事ではさまざまな栄養素をバランスよく摂り、暴飲暴食を避けましょう。

運動については、散歩やウォーキングなどの体温が少し上がる程度の強さのものがおすすめです。日光を浴びることも免疫機能アップにつながります。激しい運動や長時間のトレーニングは、逆に免疫機能を下げてしまいますので気を付けましょう。

睡眠は身体をメンテナンスする重要な働きをしています。規則正しい生活や適度な運動は質のよい睡眠を得るためにも効果的です。

また、音楽を聴く、テレビや映画を観る、瞑想や入浴など、自分なりのストレス解消法を見つけておくとよいでしょう。

免疫機能を下げないように、ウォーキングや日光浴をしている人のイラスト 免疫機能を下げないように、ウォーキングや日光浴をしている人のイラスト

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