帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが原因で起こります。
加齢などで免疫機能が低下していると発症しやすくなります。
水ぼうそうが治った後もウイルスは体内に潜伏し続け、加齢などで免疫機能が低下すると、ウイルスが再び活性化して皮膚に痛みを伴う発疹が現れることがあります。これが帯状疱疹です。
帯状疱疹の発症
日本人成人の9割以上が帯状疱疹を発症する可能性があります。
とくに50歳代から発症率が増加しています。
日本人成人の90%以上は、帯状疱疹を発症する可能性があるといわれています1)。発症率は50歳代から高くなり、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています2)。
- 調査の対象と方法:2009~2015年に帯状疱疹を発症し、宮崎県皮膚科医会に属する医療機関(皮膚科診療所36施設、総合病院の皮膚科7施設)を受診した患者34,877例の性別および年齢を調査した。
(図は文献から作図)
- 1)国立感染症研究所: 帯状疱疹ワクチン ファクトシート 平成29(2017)年2月10日
- 2)Shiraki K., Toyama N.et al.: Open Forum Infect Dis.4(1), ofx007, 2017
基礎疾患と帯状疱疹の発症
基礎疾患のある方は、帯状疱疹の発症リスクが高くなるという報告があります。
帯状疱疹の発症に関連があると報告された17疾患*のある患者さんを対象にした調査・分析では、発症のリスクはそれぞれ以下のようになっていました。
高血圧がない方に比べて、ある方は | 約1.9倍 |
---|---|
糖尿病がない方に比べて、ある方は | 約2.4倍 |
関節リウマチがない方に比べて、ある方は | 約2.0倍 |
腎不全がない方に比べて、ある方は | 約2.2倍 |
悪性リンパ腫がない方に比べて、ある方は | 約8.4倍 |
全身性エリテマトーデスがない方に比べて、ある方は | 約4.1倍 |
- ※ 「その疾患がない方」とは、17疾患のうち、対象となる疾患がなかった方を指します。たとえば、「高血圧がない方」というのは、17疾患のうち高血圧の疾患がなかった方を指しますが、いずれかの疾患がある方です。
- * 帯状疱疹の発症に関連があると報告された17疾患
脳腫瘍、肺がん、乳がん、食道がん、胃がん、大腸がん、婦人科がん、悪性リンパ腫、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群、糖尿病、高血圧、腎不全、椎間板ヘルニア、白内障、うつ病 - 【本調査の対象・方法】
調査の対象と方法:2001~2007年に日本の単一施設での電子カルテの記録から、帯状疱疹の発症に関連があると報告された17疾患の患者(帯状疱疹発症769例および帯状疱疹非発症54,723例)を対象に、それぞれの疾患がある場合の帯状疱疹の発症のリスクを過去にさかのぼって調査し、分析した。
【本研究の限界】
①疾患のある方と疾患のない方を比較しているわけではない。➁帯状疱疹発症後、被験者が必ずしも同じ病院を受診していなかったため、観察期間には制限がある。
- * Hata A. et al.: Infection. 39(6), 537-544, 2011
医師が解説
「あなたの病気から知る帯状疱疹」
皮膚科医に聞く!帯状疱疹とは?
気にしたほうが良い方は?
愛知医科大学 皮膚科学講座 教授 渡辺大輔 先生
皮膚科医の先生に、帯状疱疹についてわかりやすく解説いただいた動画です。
帯状疱疹を発症しやすいのはどのような人なのか、高血圧・糖尿病などの基礎疾患との関連についてもお話しいたしますので、ぜひご覧ください。
帯状疱疹の発症箇所とその経過
帯状疱疹は通常、体や顔の左右半分に生じますが、免疫機能が低下している人の場合など、まれに全身に広がることもあります。
帯状疱疹には、発疹の範囲が狭いものから広いものまであります。水ぶくれも深い潰瘍を作り、治癒まで長引くものもあります。
帯状疱疹が発生する場所
帯状疱疹はウイルスが神経を伝って広がって生じるため、神経の広がる領域に沿って、通常は顔や体の片側に発生します。
帯状疱疹の経過
帯状疱疹の経過は、発疹(小さなぶつぶつ)が出る前、発疹が出てきたとき、発疹が水ぶくれになったとき、水ぶくれがかさぶたになって、その後次第に消失していく時期に分けることができます。
●発疹が出てきたとき
初期の症状は、かゆみからずきずきする痛みまで、発疹は範囲の狭い島状のもの(写真A)から、範囲の広いもの(写真B)まであります。
免疫機能が重度に低下している方(免疫不全状態の高齢者、免疫抑制剤を使用している場合など)は、まれに皮ふの症状が全身に広がって、まるで水ぼうそうの発疹のように出ることがあります(写真C)。
(写真)をクリックすると、帯状疱疹の患部写真が表示されます。
●水ぶくれ~治癒まで
水ぶくれは通常、ただれた状態を経て約2週間くらいでかさぶたになって治っていきますが、深い潰瘍を作り、治癒まで1か月以上かかるなど、重症化することもあります。
A 軽症の例
愛知医科大学 皮膚科学講座 渡辺大輔先生 ご提供
B 中等症の例
愛知医科大学 皮膚科学講座 渡辺大輔先生 ご提供
C 汎発性帯状疱疹の例
帯状疱疹を発症(左)してから数日後に、離れた部位(右)に水痘に似た皮疹が現れる
愛知医科大学 皮膚科学講座 渡辺大輔先生 ご提供