

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスによって起こる病気で、加齢などによる免疫機能の低下が発症に関係しています。
また、高血圧・糖尿病・腎不全などの基礎疾患をお持ちの方では、帯状疱疹の発症リスクが高くなるという報告もあり、特に注意が必要です1)。
帯状疱疹の原因や症状、基礎疾患との関係について知り、予防について考えてみましょう。
1)Hata A. et al.: Infection. 39(6), 537-544, 2011
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが原因で起こります。
加齢などで免疫機能が低下していると発症しやすくなります。
水ぼうそうが治った後もウイルスは体内に潜伏し続け、加齢などで免疫機能が低下すると、ウイルスが再び活性化して皮膚に痛みを伴う発疹が現れることがあります。これが帯状疱疹です。
帯状疱疹の発症
日本人成人の9割以上は、帯状疱疹の原因となるウイルスが潜伏しています2)。
とくに50歳代から発症率が増加しています。
日本人成人の90%以上は、このウイルスが体内に潜伏していて帯状疱疹を発症する可能性があります2)。発症率は50歳代から高くなり、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を経験するといわれています2)。


- 調査の対象と方法:2009~2015年に帯状疱疹を発症し、宮崎県皮膚科医会に属する医療機関(皮膚科診療所36施設、総合病院の皮膚科7施設)を受診した患者34,877例の性別および年齢を調査した。
- 2)国立感染症研究所:帯状疱疹ワクチンファクトシート 第2版 令和6
(2024)年6月20日改訂
基礎疾患と帯状疱疹の発症
基礎疾患のある方は、帯状疱疹の発症リスクが高くなるという報告があります。
帯状疱疹の発症に関連があると報告された17疾患*のある患者さんを対象にした調査・分析では、発症のリスクはそれぞれ以下のようになっていました1)。
| 高血圧がない方に比べて、ある方は | 約1.9倍 |
|---|---|
| 糖尿病がない方に比べて、ある方は | 約2.4倍 |
| 関節リウマチがない方に比べて、ある方は | 約2.0倍 |
| 腎不全がない方に比べて、ある方は | 約2.2倍 |
| 悪性リンパ腫がない方に比べて、ある方は | 約8.4倍 |
| 全身性エリテマトーデスがない方に比べて、ある方は | 約4.1倍 |
- ※ 「その疾患がない方」とは、17疾患のうち、対象となる疾患がなかった方を指します。たとえば、「高血圧がない方」というのは、17疾患のうち高血圧の疾患がなかった方を指しますが、いずれかの疾患がある方です。
- * 帯状疱疹の発症に関連があると報告された17疾患
脳腫瘍、肺がん、乳がん、食道がん、胃がん、大腸がん、婦人科がん、悪性リンパ腫、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群、糖尿病、高血圧、腎不全、椎間板ヘルニア、白内障、うつ病 - 【本調査の対象・方法】
調査の対象と方法:2001~2007年に日本の単一施設での電子カルテの記録から、帯状疱疹の発症に関連があると報告された17疾患の患者(帯状疱疹発症769例および帯状疱疹非発症54,723例)を対象に、それぞれの疾患がある場合の帯状疱疹の発症のリスクを過去にさかのぼって調査し、分析した。
【本研究の限界】
①疾患のある方と疾患のない方を比較しているわけではない。➁帯状疱疹発症後、患者が必ずしも同じ病院を受診していなかったため、観察期間には制限がある。
- 1)Hata A. et al.: Infection. 39(6), 537-544, 2011
帯状疱疹の主な症状と合併症
体の片側に痛みや発疹が現れ、水ぶくれなどの皮膚症状がみられます。
帯状疱疹の初期症状は、皮膚の痛みや違和感・かゆみです。
続けて皮膚症状が現れると、ピリピリと刺すような痛みとなり、夜も眠れないほど激しい場合もあります。
発疹は水ぶくれとなった後、かさぶたになり、次第に皮膚症状が治っていきます(写真A)。
(写真)をクリックすると、帯状疱疹の患部写真が表示されます。
症状の多くは上半身に現れますが、顔や目、頭などに現れることもあります。
帯状疱疹はウイルスが神経を伝って広がって生じるため、神経の広がる領域に沿って、通常は顔や体の片側に発生します。
発疹の範囲には個人差があり、狭い範囲に現れる場合から広い範囲に現れる場合まであります。
免疫が低下している人の場合などは、まれに全身に広がることもあります。
免疫機能が重度に低下している方(免疫不全状態の高齢者、免疫抑制剤を使用している場合など)は、まれに皮膚の症状が全身に広がって、まるで水ぼうそうの発疹のように出ることがあります(写真B)。
(写真)をクリックすると、帯状疱疹の患部写真が表示されます。
帯状疱疹では、皮膚の症状が治った後も痛みが続いたり、目や耳などに合併症が現れたりすることがあります。
主な合併症:帯状疱疹後神経痛(PHN)
●50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、約2割は3カ月以上痛みが続きます
神経が損傷されることで、皮膚の症状が治った後も、痛みが残ることがあり、3カ月以上痛みが続く場合は帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれます。
PHNの痛みは、「刺すような痛み」や「焼けるような痛み」と表現され、数年にわたって痛みが改善されないこともあります。
50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、約2割がPHNになるといわれています3,4)。特に高齢者ではリスクが高く、PHNを防ぐためにも帯状疱疹の予防が大切です。
3)稲田 英一 他 編: 帯状疱疹Up-to-Date. p46-49, 診断と治療社. 2012
4)Takao Y. et al.: J Epidemiol. 25(10), 617-625, 2015


3)稲田 英一 他 編: 帯状疱疹Up-to-Date. p46-49, 診断と治療社. 2012
4)Takao Y. et al.: J Epidemiol. 25(10), 617-625, 2015
その他の合併症
●目や耳に症状がでたり顔面神経麻痺などの重い後遺症が残ることもあります
帯状疱疹は頭部から顔面に症状がでることもあり、目や耳の神経が障害されると、めまいや耳鳴りといった合併症がみられることがあります。
重症化すると、視力低下や失明、顔面神経麻痺など、重い後遺症が残る可能性があります
(写真C ・ 写真D)。
(写真)をクリックすると、帯状疱疹の患部写真が表示されます。
写真A


愛知医科大学 皮膚科学講座 渡辺大輔先生 ご提供
写真B


汎発性帯状疱疹
帯状疱疹を発症(左)してから数日後に、離れた部位(右)に水痘に似た皮疹が現れる
愛知医科大学 皮膚科学講座 渡辺大輔先生 ご提供
写真C


目の合併症のリスクが高い帯状疱疹
愛知医科大学 皮膚科学講座 渡辺大輔先生 ご提供
写真D


帯状疱疹による顔面神経麻痺
愛知医科大学 皮膚科学講座 渡辺大輔先生 ご提供



