帯状疱疹の治療法
帯状疱疹を発症したら皮膚科を受診します。合併症や後遺症を引き起こさないためにも、帯状疱疹の疑いがある場合は速やかに受診しましょう。
ここでは、帯状疱疹に対する治療法について、痛みや発疹が出ている間の治療、そしてその後に現れることがある帯状疱疹後神経痛(PHN)[PHN(ピーエイチエヌ)]の治療に分けて紹介します。帯状疱疹を引き起こすウイルスに直接作用する抗ウイルス薬は、症状が出てからなるべく早く治療を始めることが必要です。帯状疱疹では痛みに対する治療も重要になります。速やかに皮膚科や内科、ペインクリニックなどの医療機関を受診し、医師と相談の上、治療することが重要です。
帯状疱疹の治療法は
症状によってさまざま
帯状疱疹の治療は、原因となっているウイルスを抑える抗ウイルス薬と、痛みに対する痛み止めが中心となります。帯状疱疹の痛みは発疹とともに現れる痛みと、その後、神経が損傷されることにより長く続く痛みに分けられ、それぞれに合った痛み止めが使われます。


1)日本ペインクリニック学会神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂版作成ワーキンググループ編: 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂第2版. p90-92, 真興交易医書出版部. 2016
抗ウイルス薬による治療
帯状疱疹の治療には抗ウイルス薬が使われます。抗ウイルス薬は、水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化して活発に増えている段階でウイルスのDNA(遺伝情報をもっているもの)の合成を妨げることで、ウイルスが増えるのを抑える働きをします。
症状が軽い場合や中程度の場合には、内服薬(飲み薬)の抗ウイルス薬で治療することができます。
症状が重い場合や免疫力が低下している場合には、入院した上で抗ウイルス薬の点滴による治療が必要となることがあります。


痛み止め(鎮痛剤)で痛みを止める治療
帯状疱疹による痛みに対しては、痛み止めでの治療が行われます。帯状疱疹の痛みは発疹が出るよりも先に現れることが多く、このような皮膚の痛みに対しては、鎮痛剤が用いられることもあります。
痛み止めによる治療はあくまでも痛みに対する治療であり、帯状疱疹そのものを抑えるためには抗ウイルス薬による治療が必要となります。
夜も眠れないほどの強い痛みが続く場合には、ペインクリニックなどで神経ブロックと呼ばれる治療が行われることもあります。神経ブロックは神経の近くに局所麻酔薬を注入して、神経の伝達をブロックする方法です。


塗り薬(外用薬)を使った治療
帯状疱疹に対して塗り薬が使われることがあります。
抗ウイルス薬の塗り薬(軟膏など)には、皮膚の表面でウイルスが増えるのを抑える効果が期待できます。抗ウイルス薬の塗り薬は、ごく軽症の場合や、すでにウイルスの活性化が抑えられている場合に使われます2)。
また、痛み止めとして患部の炎症や痛みを抑えるための鎮痛剤・局所麻酔薬、皮疹によってできた皮膚の傷に対するお薬、抗菌薬などの塗り薬が使われることがあります。
2)白濱茂穂、渡辺大輔 編: 目からウロコのヘルペス診療ハンドブック
その診断・治療で大丈夫?. p155, 南江堂. 2017


帯状疱疹後神経痛の治療
帯状疱疹後神経痛(PHN)[PHN(ピーエイチエヌ)]は、皮膚の発疹がなくなった後も残る神経性の痛みです。帯状疱疹の発疹とともに現れる皮膚の炎症による痛みとは痛みのメカニズムが異なり、神経に関係する痛みとしての治療が行われます。
皮膚の発疹がなくなった後に強い痛みが残る場合、痛みが長く続いた場合にはPHNが疑われます。PHNの痛みは「刺すような痛み」や「焼けるような痛み」と表現されます。PHNは3か月以上痛みが残る場合に診断されることが多いのですが、皮膚の発疹がなくなった後も痛みが続く場合、PHNと考えて治療が行われることもあります3)。
PHNに対してはCa2+チャネルα2δリガンド鎮痛補助薬のうち保険適用のある薬剤が用いられることがあります。鎮痛補助薬が有効でない場合は、オピオイド鎮痛薬という麻薬性のお薬が使われることもあります。うつ病治療薬も、保険適用のある薬剤が用いられることがあります。
PHNに対してはお薬による治療がメインとなりますが、それに加えて神経ブロック注射やレーザー治療が行われることもあります。
3)白濱茂穂、渡辺大輔 編: 目からウロコのヘルペス診療ハンドブック その診断・治療で大丈夫?. p148-151, 南江堂. 2017



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